めまいと狂乱と優しさ
江戸川乱歩の「魔術師」という小説の書き出しを読み、
「本当にそうだな」と思う日々が続いている。
「新聞は毎日のように新しい犯罪事件を報道する。世人は慣れっこになってしまって、またかというような顔をして、その一つごとに、さして驚きもしないけれども、静かに考えてみると、なんとそうぞうしく、いまわしい世の中であろう。」
—『江戸川乱歩作品集 110作品収録+関連作品』江戸川乱歩著 https://a.co/hZKXz1p
狂ったような正義感が誰かの心を串刺しにし、
またその傷は新しい正義感となり誰かを平気で傷つけていく。
毎日そんなニュースばかりテレビや雑誌は報じている。
より印象深く、センセーショナルな事にしようと
騒がしい見出しがイタズラに紙面を賑やかしている。
せめてひと時、安らぎの時間が欲しいとメディアからそっと身を離す。
私には難しいことは分からない。
分かるのは、目の前の世界がぐるぐる回っているのを、
ただぼんやりして眺めることだけ。
今日こそは
今日こそは優しい1日となれと願うばかり。
そして、
今日も優しくなれない狂気の世の中に、
私のめまいは止まらない。

東京都在住のフリーのイラストレーター/グラフィックデザイナー。
一児の母。
日々一日、丁寧に暮らすことが好き。
趣味はバレエ・ミュージカル・舞台鑑賞。
Illust portfolio : https://snowylab.com/illustration
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